Carnival:cva025

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 こんな状態の彼に任せる訳にはいかない。ここには冷静かつ聡明な思索が必要だ。かと言って、彼にそんな便利な外付け思考
機能があっただろうか。ないね。
TL
 って、ちょっと考えてみたけれど、あ、もしかしたら、ないこともないかもしれない、ような気がする。と、僕は思いつき、
でもその前にちょっと仮眠。体が重すぎるよこれ。
TP





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SEF 109 2

WT 2000 1

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 僕はソファーを立ち上がり、理紗の部屋へ向かった。

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部屋をノック。コンコン。
TL
「いるー?」
TL
 って、一応、形式上言ってみたけれど、いない。
TH
まあそれは当然で、先刻、寝起きの木村学は九条理紗に、なんか漫画雑誌が読みたい、コンビニへ買いに行ってくれない? 
って申請して、九条理紗はそれを受諾して買いに行ったんだった。あー、すっかり忘れていたでござるよ。
TP













 そして今ごろ、コンビニエンスストアーで週刊トランポリンっていう雑誌探してると思う。見つかるといいね。去年廃刊に
なったエロ漫画雑誌だけれど。というわけで、しばらく帰ってこない。たぶん。そうだった。あちゃー、困ったなあ。うん、
本当に困った。
TL
 でも、まあいないんなら、しょうがないよね、だって、いないんだもの。
TP





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GS 0 1
SEF 109


 っていうことで、勝手に理紗の部屋に入らせていただいて、ほら、机の上の充電器に携帯電話が乗ったまんまだ。
そうだと思ったんだよね。ちょっとコンビニ行くくらいなら、携帯持ってかないかもしれないなって。あたった。
TL
 ああ、ラッキーだなあ、ということで、火急の用事ということもあり、丁度理紗もいないと言うこともあり、僕はやむなく仕
方なく不承不承その携帯電話をひったくってポケットに突っ込むと、早足で部屋を出、ドアを閉め、そして九条家を出た。
真夏の空気が陽炎をつくり景色を歪めている。
TP









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 プルルルルルルルル、ガチャ。
TL

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「もしもし、どうしたの?」
TL
 ってオーケー。僕も携帯の使い方になれてきたみたい。さしたる困難もなく、目的の相手につながった。オーケー、
オーケー、オーケー牧場。今回はよくできた。今時の若者っぽい。すげー。
TP








「えーと、諸事情あって、理紗じゃなくて別の人間が使ってるんだけど」
TL
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「え、もしかして、木村君?」
TL
「そう、木村学。あ、ちなみに九条理紗さんは元気だよ。で、コンビニ行ったまま、なかなか帰ってこなくて、しょうがないか
ら、いない間に電話を拝借してきたんだ。渡会さんに用があって」
TL
WVP 0 vccva025izm002
「どうしたの? 何なのかしら、用って?」
TL
「今から会って欲しいんだけど。いいかな?」
TP











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「なんだか、火急の用みたいだけれど」
TL
「今の僕にとって、全てのことは火急だよ。世界中に火がついてるように見える」
TL
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「それは、何というか、すごい大変ね。いや、もともと大変なんだよね。そうだね」
TL
「うん、それで、どうも火が僕の頭の中にもまわったみたいでね、ちょっと、うまく、考えられない」
TL
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「大丈夫、どうしたの?」
TL
「出来れば少し、第三者の意見とか聴いて落ち着きたい。悪いけど、そういう役割を引き受けてもらえるかな?」
TL
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「いいよ。でも、私なんかでいいの?」
TL
「まあ、いま他に事情を話せる人いないし」
TL
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「そっか」
TP









「それに、渡会さんなら、適任みたいな感じはするけど。冷静だし」
TL
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「どうだろう。買いかぶりかもしれないよ」
TL
「正直他に誰もいないんだ。お願いします」
TL
WVP 0 vccva025izm009
「うん、いいよ。私でよければ。じゃあ、場所どこにしようかしら?」
TP


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SEF 109 1




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SEF 109 1








 昨夜のあの児童公園で待ち合わせることにした。僕が先についていると、渡会さんがやってきた。
TP




TS 0


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SEF 109


TWS 0
TS 3





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「待った?」
TP



「いや、あんまり。急いできてくれたんじゃないかな? ごめんね」
TP


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GS 1 1
SEF 109


WVP 0 vccva025izm011
「うん、ちょっと。でも、気にしないでいいよ」
TP



「助かった。渡会さんにこんなふうに僕に付き合わせて、申し訳ない」
TP



WVP 0 vccva025izm012
「そんなことないよ。これも他生の縁。こっちだって、それなりのものは貰ってるんだから」
TP



「それなりのもの?」
TP


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GS 1 1
SEF 109


WVP 0 vccva025izm013
「人生に、刺激をね」
TP



「へえ、暇なんだね」
TP



WVP 0 vccva025izm014
「うん、暇なの。まあ、それだけじゃないけど」
TP



「他に、何を? 理紗のこととか?」
TP


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SEF 109



WVP 0 vccva025izm015
「いや、そうじゃなくて……」
TP



「何?」
TP



WVP 0 vccva025izm016
「いや、ええと……」
TP




 珍しく、渡会さんが言い淀んでいる。なんだろうなあ、と思いながら、まあ、僕が考えたところでわかる由(よし)もなし。
だいたい、僕の頭がどうかしてると思ったから、代理として渡会さんに来て貰ったんだ。
TP




 僕は黙っている。渡会さんも、何か言おうとしながら、言葉を探している。沈黙。アブラゼミの声が降りしきる。
TP


WVS 1 1




「静けさや、磐にしみいる蝉の声」
TP


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WVP 0 vccva025izm017
「え、なあに?」
TP



「うん、そっちこそ」
TP



WVP 0 vccva025izm018
「何が?」
TP



「いや、何か言おうとしてたみたいけど」
TP



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GS 1 1
SEF 109


WVP 0 vccva025izm019
「いや、なんでもないよ。何か話でもすればよいのであるが、話すべき材料は何も持たぬからただ手持ち無沙汰で坐っている、
んです」
TP



「でも、新聞を読ませようとすれば、ふり仮名のない新聞くらい読めるでしょう?」
TP



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GS 1 1
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WVP 0 vccva025izm020
「あ、よく解ったのね!」
TP



「うん、まあ、日頃書などすさめぬ人も長き病の床には好みて小説伝記を読み、あるはてにはの合わぬ歌発句をひねくりなどす
るものなり、ってところだよ。ただそれだけ。僕は発句はしないけど。病床六尺」
TP



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WVP 0 vccva025izm021
「木村君の、長き病の床って、なんなの?」
TP



「なんだろうね」
TP



WVP 0 vccva025izm022
「生まれいずる悩み」
TP



「そんな立派なもんじゃないよ。ただ、今はちょっと頭が痛い」
TP


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GS 1 1
SEF 109


WVP 0 vccva025izm023
「頭痛? 風邪でもひいたの?」
TP



「さあ。それより、せっかく来て貰ったんだし、話をしよう」
TP



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「うん、私は何をすればいいのかしら?」
TP



「話をきいて、混乱している僕のつもりになって、意見を言ってほしいんだけど、って、言葉にすると、すごい相談のしかただ
ね」
TP


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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm025
「いいよ、キミになったつもりで、考えてみる」
TP


「ありがと」
TP


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 そうして、僕は、昨日見た夢の話から、彼女に説明をはじめた。それから、詠美を捕まえて、いつの間にかいなくなっていた
ことなどを、話せる限りで。
TP





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GS 1 1
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WVP 0 vccva025izm026
「うーん」
TP



 渡会さんは、考え込む。
TP




「どう思う? 武って、幼なじみなんだけど、そういうやつと連絡とってた、とか、そういう様子はあった?」
TP



WVP 0 vccva025izm027
「いや、少なくとも、私の知ってる限りじゃないと思う。それに、いくらなんでも、そんな風に都合よく他人を引き入れたりな
んて、ちょっと現実的じゃないなあ」
TP



「そうだよね、ただの夢だったのかなあ」
TP



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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm028
「あ、電話だったら、いま理紗の携帯電話持ってるんでしょ。着信履歴とか発信履歴とか電話帳見ればいいんじゃない?」
TP



「あ、そうか」
TP



 ってことで、いろいろ調べたけれど、それらしい何か、ってのはない、ような気がする。
TP




「ねえ、こういうのって、何か設定で隠せるとか、ないのかなあ?」
TP



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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm029
「出来ないこともないけど、まさか、どうかしら。これは設定してないっぽいけど。たぶん」
TP



「そうか、じゃあ、やっぱり全部ただの夢だったのかな」
TP



WVP 0 vccva025izm030
「でも、確かに理紗ちゃんのやってることは、ちょっと不自然だとは思う。特に、黙って志村先輩を逃がしたりとか」
TP



GL 1 TCEZ1203
GS 1 1
SEF 109


WVP 0 vccva025izm031
「ただの夢、でもないのかもしれないわ。だって、そんなにはっきり記憶してるなんて変だし、何か寝ている間にあったのかも
しれない」
TP



「でも、携帯電話は」
TP



WVP 0 vccva025izm032
「本気で隠すつもりなら、メモは紙とかでもってて、履歴は消したりすればわかんないよ」
TP



「そうだなあ。でも、不自然は不自然だよね。そこまで用心してるなら、僕が聞こえるような場所でそんなことすることないの
に」
TP


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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm033
「うん、そうね。おかしいなあ。でも、夢で聞いたっていう男の方の台詞からすると、別にそのことに木村君が気がついてもど
うでもいいみたいな感じだったんだよね? もう用心とかとは関係ないのかも」
TP



WVP 0 vccva025izm034
「となると、夢は事実で、そういう男がいるかもしれない。疑ったらキリがないわね」
TP



「そうだね」
TP



WVP 0 vccva025izm035
「それに、そういう夢を見た、って夢の中の台詞を言ったら、理紗ちゃんは動揺したんでしょ? じゃあ、まったく何もないっ
てこともないはずなのよ」
TP



「うん、そうなんだ。だから、僕も変な感じがしてるんだ」
TP



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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm036
「木村君は、どうだったらいいの?」
TP



「え、どういう意味?」
TP



WVP 0 vccva025izm037
「どういう事実だったら良いなあとか、こうだったら良いなあとか、そういうのあるじゃない」
TP



「そりゃあ、理紗が隠し事なんかしないで、なんにもしてくれてなければいいけど、それはどう考えてもないし」
TP



WVP 0 vccva025izm038
「うん、そうみたいだね」
TP



「それなら、現実がほしいよ。本当の事実が。僕にとってつらいものだっていい。本当のことが知りたいかな」
TP


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GS 1 1
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WVP 0 vccva025izm039
「そう」
TP



「一体なんなんだろうね」
TP



WVP 0 vccva025izm040
「私は、あくまでも、推測だけど、言っても良い?」
TP



「うん」
TP


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GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm041
「理紗ちゃんは、キミに言えないことがあって、何か隠してる。しかも、それは木村君に知られると理紗ちゃんの都合が悪く
なること。この辺までは、多分かなり事実に近いような気がする」
TP



「そうだね、決定的だと思う。都合の悪さの具体的内容とかがわからないけど」
TP



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GS 1 1
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WVP 0 vccva025izm042
「うん、だから、ここからは推測になっちゃうんだけど、私はその夢っていうのが、多分事実だと思う。やっぱり、ただの夢だ
としたら、その台詞に理紗ちゃんが動揺するなんて変だもの」
TP






GL 1 TCEZ1003
GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm043
「で、言った台詞から判断すると、やっぱり、理紗ちゃんはその、武君、って言うのと……あ、どうしたの?」
TP



「え、何が?」
TP



WVP 0 vccva025izm044
「いや、いまちょっとフラってなったから」
TP



「ああ、最近ちょっと体の調子が変なんだ。気にしないで続けて」
TP



GL 1 TCEZ1203
GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm045
「理紗ちゃんは武君と付き合ってて、学君のことは幼なじみなんだと思う。だから、こうなってるんだよきっと。これ以上
あそこにいるのは、もう危ないかもしれない」
TP


GL 1 TCEZ1202
GS 1 1
SEF 109



WVP 0 vccva025izm046
「あくまでも、状況から考えただけだよ。私だって、理紗ちゃんがそんなことしてるとは思えないし……」
TP


「そっか、でも、僕もそうじゃないかって思ってたんだ」
TP










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