Real Imouto ga Iru:shiori-0503

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1 1JA 「あの子ったら、どこに行っちゃったんだろう……」
1 1EN Shiori
2 1JA 昨晩は一緒のベッドで寝たはずなのに、目を覚ますとその姿がなかった。
2 1EN
3 1JA とりあえずわたしも着替えて、登校の準備をする。
3 1EN
4 1JA 「……実は夢だった、とか」
4 1EN Shiori
5 1JA そうであってほしいと、ほんの少し思ってしまった。
5 1EN
6 1JA あの子は、実際に話してみると本当に優しい子だった。
6 1EN
7 1JA よく気が利くし、礼儀も正しい。
7 1EN
8 1JA 悪いところを見つけようとしても難しいぐらい。
8 1EN
9 1JA そういう意味では、お兄ちゃんと似たもの同士かもしれない。
9 1EN
10 1JA 「…………」
10 1EN Shiori
11 1JA ……まさか、お兄ちゃんの部屋に行ってるわけじゃないよね。
11 1EN
12 1JA 心配しだしたら止まらなくなって、わたしは急いで隣の部屋に向かっていた。
12 1EN
13 1JA すると案の定、中から麻衣の声が聞こえてくる。
13 1EN
14 1JA 次の瞬間、わたしはノックもせずに目の前の部屋へ躍りこんでいた。
14 1EN
15 1JA 「……やっぱり、ここだったのね」
15 1EN Shiori
16 1JA 「!?」
16 1EN Ryou
17 1JA 決定的な現場を目撃する。
17 1EN
18 1JA 麻衣はお兄ちゃんと同じ布団に、ぬくぬくと入っていた。
18 1EN
19 1JA 「起きたら部屋にいなかったから、まさかと思って来てみたけど……」
19 1EN Shiori
20 1JA 「無理に連れ出してまで、その子と一緒に寝たかったの?」
20 1EN Shiori
21 1JA 「待ってくれ、何か誤解してないか?」
21 1EN Ryou
22 1JA 「俺が部屋から麻衣ちゃんを連れ出したわけじゃ……」
22 1EN
23 1JA 「問答無用!」
23 1EN Shiori
24 1JA 麻衣 「きゃっ!?」
24 1EN Mai
25 1JA わたしはふたりが入っていた布団をはぎ取り、麻衣の腕を引く。
25 1EN
26 1JA 「大丈夫? お兄ちゃんに変なことされなかった?」
26 1EN Shiori
27 1JA 麻衣 「……?」
27 1EN Mai
28 1JA あぁ、もう。この子は何もわかってない。
28 1EN
29 1JA しかも、惚けた顔が凶悪に可愛い。
29 1EN
30 1JA この子をお兄ちゃんに近づけるのは危険かもしれない。
30 1EN
31 1JA 気がついたら男をその気にさせてる、美紀とは違う意味での魔性の女。
31 1EN
32 1JA 麻衣の場合は自覚がないから、余計に怖い。
32 1EN
33 1JA 「いい? ここはゲームの世界とは違うの」
33 1EN Shiori
34 1JA 「現実の妹っていうのは、常に兄を憎み、蔑む存在なのよ。わかる?」
34 1EN Shiori
35 1JA 麻衣 「わかりません」
35 1EN Mai
36 1JA わたしも超適当なことを吹きこんでいた。
36 1EN
37 1JA 自分でも、なんでこんなに必死なのかわからない。
37 1EN
38 1JA 「今日からわかりなさい。あんな人と仲良くしちゃダメ」
38 1EN Shiori
39 1JA 「妹にとって兄は忌むべき相手なのよ?」
39 1EN Shiori
40 1JA 麻衣 「…………」
40 1EN Mai
41 1JA この子、絶対にわたしの話を聞いてないよね。
41 1EN
42 1JA こうなったら、お兄ちゃんにも釘を刺しておかないと……。
42 1EN
43 1JA 「お兄ちゃんも、わたしがいない間に変なことを考えないでよね」
43 1EN Shiori
44 1JA 「変なこと?」
44 1EN Ryou
45 1JA 「…………」
45 1EN Shiori
46 1JA わたしはチラリと目に入ったゲームの箱を手に取る。
46 1EN
47 1JA そこには『いもうと孕ませ』って書いてあって、思わずお兄ちゃんに向かって投げつけてしまった。
47 1EN
48 1JA 「麻衣にそんなことしたら許さないから!」
48 1EN Shiori
49 1JA 本当に悲しくなる。
49 1EN
50 1JA 自分の兄が妹を妊娠させるゲームをして喜んでるなんて、想像したくもない。
50 1EN
51 1JA 「……まさか、ゲームの中でも麻衣に変なことしてないよね」
51 1EN Shiori
52 1JA 「し、してないよ」
52 1EN Ryou
53 1JA 何ひとつ信じられない。
53 1EN
54 1JA お兄ちゃん、目がオドオドしてる。
54 1EN
55 1JA 「麻衣、本当に何もされてない?」
55 1EN Shiori
56 1JA 麻衣 「はい。お兄ちゃんはいつも優しくしてくれて、麻衣ともよく遊んでくれました」
56 1EN Mai
57 1JA 「たとえば、どんな遊び?」
57 1EN Shiori
58 1JA 麻衣 「えっとぉ……」
58 1EN Mai
59 1JA そうやって考えこむ仕草すら可愛い。
59 1EN
60 1JA お兄ちゃんが優しくしたくなる気持ちもわかる。
60 1EN
61 1JA だけど……。
61 1EN
62 1JA 麻衣 「ゲームではお兄ちゃん、私に目隠しをしてお尻を叩いてたよね?」
62 1EN Mai
63 1JA 「あ、いやいやいや! それは誤解を招く表現だよ」
63 1EN Ryou
64 1JA 目隠しをしてお尻を叩きたくなる気持ちは、まったくわからない!
64 1EN
65 1JA 「お兄ちゃん、やっぱり変なことしてたんじゃない……」
65 1EN Shiori
66 1JA 「違うんだって。それは競馬ゲームにハマって、馬の調教ってどんな風にするのか妹と考えるイベントだったんだよ」
66 1EN Ryou
67 1JA 「実際に俺がそうしたかったわけじゃない」
67 1EN Ryou
68 1JA こんなこと言ってるけど、妹のお尻を叩けて小躍りしてたに決まってる。
68 1EN
69 1JA そのうち、現実でも妹にそういうことをし始めるかもしれない。
69 1EN
70 1JA もしお兄ちゃんに目隠しをされて、お尻を叩かれたりしたら、わたしは……。
70 1EN
71 1JA 「…………」
71 1EN Shiori
72 1JA 「そ、そういうことは……絶対、麻衣にはしないでよね……」
72 1EN Shiori
73 1JA なぜか顔が熱くて堪らないわたしだった。
73 1EN
74 1JA 美紀 「あれぇ? 今日は涼先輩のお迎えはなし?」
74 1EN Miki
75 1JA 「わたしだって、子供じゃないんだからひとりで帰れます」
75 1EN Shiori
76 1JA 美紀 「ありゃりゃ、あの麻衣って子にお兄ちゃんを獲られちゃったのね」
76 1EN Miki
77 1JA 「…………」
77 1EN Shiori
78 1JA 完全に否定できないのが悔しい。
78 1EN
79 1JA 今頃、あの子に『お兄ちゃん♪』なんて懐かれてデレデレしちゃってるのかな……。
79 1EN
80 1JA まさか、目隠しと手錠をしてお尻を叩いてないよね。
80 1EN
81 1JA ……あれ、手錠ってしてたんだっけ。
81 1EN
82 1JA そんなこと、どうでもいいや。
82 1EN
83 1JA それより、帰る前に買い物しておかないと……。
83 1EN
84 1JA 美紀 「ん? どこかへ寄っていくの?」
84 1EN Miki
85 1JA 「うん。あの麻衣って子の生活用品。少しずつ買い揃えていかないとね」
85 1EN Shiori
86 1JA 美紀 「へぇ、そんな敵に塩を送る的なことをしちゃうんだ」
86 1EN Miki
87 1JA 「あの子は敵でもないし、最低限の生活ぐらい送れるようにしてあげないと可哀想でしょ」
87 1EN Shiori
88 1JA 美紀 「継母にイジメられないシンデレラってところかしらね」
88 1EN Miki
89 1JA 「……一応、悪い子ではないと思うから」
89 1EN Shiori
90 1JA 自分にもそう言い聞かせて、近くのデパートへ向かうことにした。
90 1EN
91 1JA 閉店までまだ時間はあるし、急がなくても平気かな。
91 1EN
92 1JA 美紀 「仕方ない、あたしも付き合いますか」
92 1EN Miki
93 1JA 「いいよ。遅くなったら、お兄さんが心配するよ?」
93 1EN Shiori
94 1JA 美紀 「そんなの無視無視。別に男と遊んでるわけじゃないんだし、門限とかいらないわよね」
94 1EN Miki
95 1JA 「きっと、美紀のことが可愛いんだよ」
95 1EN Shiori
96 1JA 美紀 「兄にそんなこと思われてもキモイだけでしょうに」
96 1EN Miki
97 1JA 「そうかな」
97 1EN Shiori
98 1JA 美紀 「栞は違うの?」
98 1EN Miki
99 1JA 「でも、可愛いって言ってもらえると嬉しくない?」
99 1EN Shiori
100 1JA 美紀 「知らない。そんなことは、兄貴に言われたこともないし」
100 1EN Miki
101 1JA 美紀 「涼先輩は、そういうの言ってくれそうだよね~。はぁ、羨ましい……」
101 1EN Miki
102 1JA ……真顔で言ってくれちゃうから困るんだけどね。
102 1EN
103 1JA 「ふぅ、ちょっと遅くなっちゃったかな」
103 1EN Shiori
104 1JA 「早く晩ご飯の支度をしないと……」
104 1EN Shiori
105 1JA 「栞、おかえり」
105 1EN Ryou
106 1JA 「……ただいま」
106 1EN Shiori
107 1JA リビングに入ると、真っ先にお兄ちゃんが声をかけにきた。
107 1EN
108 1JA それに対して、わたしは無愛想に返事をする。
108 1EN
109 1JA 帰りに麻衣のぶんの茶碗や箸も買っておいた。
109 1EN
110 1JA うちのお母さんのを使わせてたら可哀想だしね。
110 1EN
111 1JA 「!?」
111 1EN Shiori
112 1JA 早くご飯の支度をしようと思って台所に向かうと、食卓にはすでに料理が並んでいた。
112 1EN
113 1JA お店で出せそうなぐらいの豪華な料理。
113 1EN
114 1JA 勝ちか負けかで言ったら、わたしの料理は完全に負けだ。
114 1EN
115 1JA 「どうしたの、これ?」
115 1EN Shiori
116 1JA 「ああ、麻衣ちゃんが作ってくれたんだ」
116 1EN Ryou
117 1JA 「栞も着替えたら一緒に食べよう?」
117 1EN Ryou
118 1JA 「…………」
118 1EN Shiori
119 1JA 麻衣 「あの、栞さんが部活で遅い日は麻衣がご飯を作りますね」
119 1EN Mai
120 1JA 仲良く話しているふたりを見ていたら、自分の居場所がないように思えた。
120 1EN
121 1JA 「……勝手なことしないで」
121 1EN Shiori
122 1JA 麻衣 「えっ?」
122 1EN Mai
123 1JA 先に心ない言葉が出てしまう。
123 1EN
124 1JA 「こっちは家計のことも考えて献立を考えてるの」
124 1EN Shiori
125 1JA 「一日にこんないっぱい材料を使ったら、食費がどうなるかわからない?」
125 1EN Shiori
126 1JA 「お兄ちゃんも少しは考えてよ」
126 1EN Shiori
127 1JA 麻衣 「あっ……」
127 1EN Mai
128 1JA 「栞!」
128 1EN Ryou
129 1JA ……わたしは最低だ。
129 1EN
130 1JA 麻衣だって、部活をしてるわたしのために気を利かせてくれたのに。
130 1EN
131 1JA 「…………」
131 1EN Shiori
132 1JA 新しい茶碗を使うのは、明日以降になりそうだった。
132 1EN
133 1JA とりあえずわたしは、他にも購入した麻衣の生活用品をそれぞれの場所へ置いていくことにした。
133 1EN